産んでいいドットコム 〜 出生前診断

胎児に障害が見つかったとき

その他

 > 

報道事例


ダウン症が生まれて無理心中した家族の一例

以下のグレーの文章は他のページと重複している文章なので、すでに他のページで読んでいる人は読み飛ばしてください。

以下のダウン症とは完全型と転座型だけを指し、モザイク型は含みません。また、以下の記述は症状や性質がダウン症と似た他の障害にも該当します。しかし、発生頻度が高い主な障害の中ではダウン症だけが該当します。

→ 完全型・転座型ダウン症
→ モザイク型ダウン症

ダウン症が生まれると父親が母親を捨てて逃げることや家族を離婚や自殺、心中などに追い込むことがあり、自殺や心中は実際には報道の何倍も起こっているのです。というのは、全ての事例が報道されるわけではないからです。また、報道されても子供がダウン症だったことは伏せられることも多いからです。

また、子供がダウン症だったことが報道されても自殺や心中に至った詳細(介護の過酷さや退行や若年性アルツハイマーを発症したダウン症の暴力性や凶暴性)は伏せられることも多いので、ダウン症の家族が受けている本当の苦しみと過酷さの実態はなかなか伝わらないことが多いのです。

しかし、中にはダウン症の家族が受けている本当の苦しみと過酷さの実態がありのままに赤裸々に報道された事例もあるので、その全文を紹介します。無理心中事件の判決の報道です。重い刑(懲役7年)になったのはダウン症の息子だけではなく、妻にまで手をかけたからです。ダウン症の息子だけならば不起訴や起訴猶予、執行猶予などの軽い刑で済んでいた可能性が高いでしょう。

少々古い事例です。しかし、ダウン症の家族の苦しみには時代は関係ありません。また、個人名と地名は伏せ字に変換してあります。

朝日新聞:2009年2月5日(リンク切れ)
http://www.asahi.com/national/update/0204/tky200902040312.html

重いダウン症の長男(当時27)の将来を悲観した妻(同53)に頼まれ、2人を殺害した夫(57)に対する判決が4日、S地裁であった。死刑を求めた夫に裁判所が出した答えは、懲役7年(求刑同10年)。W裁判長は「長男がダウン症を持って生まれてきたことには必ず意味がある。あなたが生き残ったことにも意味がある」と諭した。

長男Mさんに対する殺人と、妻Kさんに対する承諾殺人の罪に問われたのは、S県K市のF被告。F被告は公判で「体調が悪化して長男を介護できないと自分を責める妻に『3人で死のう』と言われ、決意した」と語った。

検察側の冒頭陳述やF被告によると、長男の症状は重く、知能は2、3歳程度。生後間もなく医師に「20年ほどしか生きられないのでは」と言われたといい、夫婦は「子どもに罪はない。20年を大切にしてあげよう」と誓った。

食事やトイレなども付ききりで妻が世話したが、介護は過酷だった。自分の便を口に運ぶ長男を抱きしめ、泣いたこともある。成人すると長男は暴れたり、妻の髪の毛を抜いたりもした。

妻が頭痛やぜんそくなどの体調不良を訴えたのは約2年前。40年勤めた会社を定年退職したF被告も介護を手伝った。だが妻の体調はますます悪化し、「3人で逝こう」と心中を望むようになった。

08年8月、妻は果物ナイフを手に「私と長男を刺して」と懇願。9月9日夜には「遺書を書いた」とF被告に伝えた。その言葉に、説得を続けていた被告の心も折れた。

翌10日午前1時ごろ、F被告は就寝中の妻と長男の首などを果物ナイフで刺した。自らも風呂場で手首を20カ所以上傷つけたが、死にきれずに110番通報した。

「なぜ自分だけ残ってしまったのか。死刑にして欲しい」。そう公判で訴えたf被告は判決後、「残された人生を有意義に生きて欲しい」と裁判長に言われ、「はい」と一礼して法廷を去った。(T記者)